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ひかり⑧


ふたりともブログで物語を書いているだけのことはある。

普段の何気ない出来事を書くにしても、長文でも読みやすく、話題にも魅力がある。
綴られている文の段落ごとに、丁寧に返事の内容が付け加えられる形式は、いつの間にか二人のお作法になっていた。


そして仮に その全文を公開したとすれば...
見た人すべてが、それは間違いなくラブレターそのものだと言うのだろうが・・・ふたりとも、未だに相思相愛だという確証は持っていない。




そんなある日。
HARUから「時間が合ったらチャットしよう」とメッセージが届く。

秋乃はピグにも登録していたが、アバターを作った程度で、他の誰かとチャットするためにログインしたことはなかった。



ピグのチャットは、音声会話ではなく、アバターを操って文字会話ができるというものだ。
ふたりは、明日の夜 秋乃のピグの部屋で待ち合わせしようと約束をした。


そして、約束の夜。
ソワソワしながら 秋乃が部屋で待っていると・・・。約束の時間ちょうどにHARUのアバターがやってきた。




秋乃
「こんばんわ(●´ω`●) 」

HARU
『やっぱり・・・はじめまして・・かなw』

秋乃
「あはは(笑) そうですね。はじめまして・・・ですね(●´ω`●) 」




最初は、少しよそよそしい雰囲気だったが、リアルタイムで話せていることが楽しくて、すぐに会話は弾んでいく。仕事のこと、趣味のこと、ブログのこと・・・メッセでは話せていなかったことを、たくさん話した。



秋乃は初めてHARUを身近に感じることができ、嬉しさと恥ずかしさで舞い上がる。
リアルの姿を見ているわけではないのだが...ピグに感情移入しているせいか、会話のテンポやアバターの動きで、なんとなく その向こうに確かに存在しているHARUを感じることができる。


そこには、思っていた通りの優しく柔らかい雰囲気... 秋乃の生活のリズムを想像して、会話の途中でも気づかってくれるさりげなさ、何を打ち明けても余裕で受け入れてくれそうな安心感に、過去の恋愛とは全く異なるトキメキを感じていた。




もう、何も隠す必要はない・・・。 自然に、本名を伝え合う。




秋乃
「私は、進藤 秋乃(シンドウ アキノ)っていいます。」

HARU
『俺は、山谷 春之(ヤマタニ ハルユキ)だよ。』

秋乃
「じゃぁ、ハンネはお名前の一部なんですね?」

HARU
『そうだよ。NIKOちゃんはあまり名前と関係無いんだね(笑)ハンネも本名も可愛いけど。』

秋乃
「ふふっ(笑)有難うございます(〃ω〃)」





他愛もない最近の世間話、過去の恋愛話へと続き、やがてお互いのHに対する考え方などの話になっていく。
すると、意外なほど趣味嗜好が似通っていた。


いちばん好きな体位が騎乗位だったり、相手の感じている表情を見ながらするのが好きだったり、好奇心やサービス精神が旺盛で、相手の喜びそうなプレイを試行錯誤したり、気持ち良くしてもらったら、それ以上の快感を相手に味わってもらいたいと思っている事。

秋乃は、好きな人に髪を撫でてもらうのが大好きで、HARUは、好きな子の髪をずっと撫でてしまうのが癖だったし、行為のあとの余韻は、しばらく抱き合いながら楽しみたいと思っていたり・・・ 相手の無防備な姿を見ていると、何か無性にいたずらしたくなる気持ちが一緒だったり・・・ 話せば話すほど似ている部分が増えていく。




「わたしたち・・・相性ピッタリかもね!」と笑いあう。





話せば、話すほど お互いに 強く惹かれあっていることに気付く。



秋乃はずっと気になっていたことを、HARUに告げる。





秋乃
「本当は、おいくつなんですか?」

HARU
『前、言ってた通り、AKIちゃんのご両親に近いよ。もう48歳さ』

秋乃
「えっ!?!? 本当に?? 全然見えない!!」

HARU
『だいたい若めに見られるかな・・w』

秋乃
「あの・・じゃぁ、やっぱり・・結婚してますよね?」

HARU
『・・・・・・・。うん、してるよ。』





HARUは、ほんの数秒あとに、既婚であることを正直に答えた。




秋乃
「・・・やっぱり。そうですよね。」





HARUの世代の男性であれば、結婚してる方がごく普通だ。それは、もちろん想定していたはずなのに、HARUの口から告げられたことにショックを受け、うろたえる自分に驚いてしまう。



これ以上、彼の家族のことを聞けば、否定しようがない現実を突き付けられ 落ち込む自分が容易に想像がつく・・・。けれど、それは分かってはいても、知りたい欲求の方が上回った。



ためらいまじりで、少しずつ 彼が答えてくれそうな質問を投げかける。
HARUは、それに きちんと答えてくれる。



奥さんとの関係は、相手を嫌い...疎ましがるようなものではなく・・・。過去にある言い争いが発端となって、相容れない本心を知り、それ以降 寝室を共にする事は無くなっているらしい。だが、子供とも関係は、とても良好で、愛しているということだった。


もう何年も前から、子供の親としての責任の担うだけのパートナーとなっているようだ。



秋乃とHARUは、いまだリアルを知らず、仮想空間の関係だ。
言いたくないような面倒くさいやり取りなら「話したくない」で済ませたり、嘘をつくことだってできるハズ。けれど、HARUはきちんと話してくれた。そんなHARUへの気持ちは更に強まり『この人なら、わたしに嘘はつかない』と思った。



秋乃
「うぅぅ・・・なんで結婚してるんですかぁ・・・(´;ω;`)」

HARU
『ほんと そうだね・・・。なんで同じ世代に生まれなかったんだろう・・・』




その言葉に、秋乃は切なすぎて胸が張り裂けそうになった。

きっと、他の誰に話しても・・・ これ以上、先に進んで良いことなんてない。ここで身を引いて諦めるべきだと言われるに違いない。


けれど秋乃は、今、HARUに惹かれている自分に正直でありたいと思った。



そしてHARUもまた、秋乃に惹かれている今を失いたくはないと思った。



HARU
『AKI・・逢いたいね。』

秋乃
「HARUに逢いたい・・・」






ふたりは、そう遠くない、いつか・・どこかで・・逢おうと約束した。



 2015_08_18




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